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📘 相談援助の原則 ~バイスティックの7つの原則~ 福祉の専門職を目指す中で必ず学ぶ、人間関係の土台となる大切な考え方をご紹介します。

昔の話になりますが、私は理学部の学生として大学を卒業した後、数年間の社会人経験を経て、福祉系の専門学校へ入学しました。そこで、相談援助についてゼロから学び直すことにしました。2年間の専門学校生活の締めくくりとして社会福祉士の国家試験を受験し、幸いにも合格。そこから本格的に福祉の世界へと足を踏み入れました。
 専門学校での学びの中で、さまざまな先生方の授業を受けましたが、必ずと言っていいほど耳にした実践理論があります。今回は、その中でも特に有名な「相談援助の基本原則」についてご紹介したいと思います。
 相談援助を学ぶとき、おそらくどの教科書にも必ず記されている原則があります。それが、アメリカの社会福祉学者バイスティックが提唱した7つの原則、いわゆる「バイスティックの7つの原則」です。まずは、この7つを簡単に紹介していきましょう。
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1. 個別化
 一人ひとりの人間にはそれぞれの「個性」があります。たとえ似た特徴を持っていても、誰一人として同じではありません。その人に合った形で関わることが大切です。
2. 意図的な感情表出
 どのような感情であっても、安心して自由に表現できるように関わる必要があります。ポジティブな感情もネガティブな感情も、素直に出せる環境づくりが求められます。
3. 統制された情緒的関与
 相談援助を行う側は、自身の感情を十分に自覚し、適切にコントロールしながら、相手への言動や反応に注意を払う必要があります。
4. 受容
 相手の発言や行動を評価せず、「あるがまま」に理解し、受け止める姿勢が大切です。「受け止める」という態度こそが信頼の第一歩です。
5. 非審判的態度
 自分の価値観や倫理観で相手を判断してはいけません。ましてや一方的に非難するような態度は避けるべきです。
6. 自己決定
 相手が自分自身の意思で選択・決定できるよう支援し、その意思を尊重することが重要です。
7. 秘密保持
 相談援助の中で知り得た情報は、決して他者に漏らしてはいけません。その信頼の上にこそ、支援関係が成り立ちます。
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 これら7つの原則は、相談援助に関わる人にとって守るべき基本的な姿勢であり、実践上の大切なルールです。一つひとつを見ると、「当たり前のことでは?」と思うかもしれません。しかし、実際の援助場面では、この「当たり前」をどれだけ丁寧に実践できるかが問われます。
 バイスティックは、人は誰しも「弱点」や「課題」を抱えていても、生まれながらに尊厳を持つ存在であり、他者から価値ある人間として受け入れられたいと願っている――そんな考えを基盤にこの原則を示しました。
 これらの原則は、福祉や援助の専門職だけでなく、「親から子へ」「教師から生徒へ」といった日常的な人間関係にも当てはまる、非常に大切な考え方だと思います。
 次回からは、これらの原則のいくつかを取り上げながら、日々の子育てや人との関わりに役立つヒントを交えてお話ししていきます。
 福祉や相談援助の考え方は、実は家庭や学校の中でも活かせる場面がたくさんあります。
 「うまく話を聞いてあげられない」「つい感情的に言ってしまう」――そんなときにこそ、これらの原則が助けになってくれるかもしれません。
 最初のテーマは「④受容」。お子さんとの関係づくりや、ご家庭での関わり方を見つめ直すきっかけになれば幸いです。

監修者情報

代々木高等学院
社会福祉士/スクールソーシャルワーカー
建元 大吾

東京都渋谷区千駄ヶ谷5-8-2
TEL:050-3535-2797
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