最近、中学生で不登校になっているお子さんを持つ保護者相談を受けていて感じることがある。
「家にいても勉強をするようすも見られなし、ただユーチューブを見、ゲームばかりしていて、目標を持とうともしないし、なんとなく日々を過ごしているような感じで、歯がゆい思いで、見ていてイライラしてしまうのですが、どう対応したら良いのでしょうか?こんなんで高校進学は難しいですよね。」と、母親が心配して相談する。「高校進学するに当たってお子さんと話をしたことはありますか?」と、聞くと「話そうとすると“うるさい”と言って逃げてしまうのです。」困った顔で母親が応える。
「実は、お子さんが一番気にしているのです。」そう、不登校で家に居て何か頭の中がモヤモヤしている。気がかりのことがあると思っているのは、本人が一番強いかもしれません。今ここで足踏みして停滞していますが、彼なりに悩み考えているのです。そしてその子なりにスローステップではあるが、成長しているのです。
ここでストップしているが、この子に合った伸び代で成長しているのだと、親がちょっと視野を広げて見守ってあげてください。そして、子どもの様子を見て時間を作って話し合いをしてみてください。子どもの方から“どう思う?どうだろう?¨という疑問形の問いが出てくるような聞き方、話し合いが大事です。親は、ゆったりした気持ちで子どもの発言を待つことが第一です。
以前、小6の時の検査結果ですがとか、中1の時のWISC検査の結果です。と、検査表と所見を持ってこられ、「児相で障がいレベルとは認められず、手帳を出してもらえなかったのですが、将来の進路先のことや仕事のことが心配です。」との相談を母親や両親から受けたことが数回あった。検査結果表・所見からは多少の偏りはあるものの特に気にするレベルではないと思い、「家で特に何かお困りのことはありますか?」と、尋ねると「特に生活上は普通です。私に質問するときは、多少しつこいですが。」固執性が検査結果にも多少表れている程度。
「お母さん、具体的に納得できるように話して上げて下さい。そのうち変わってきますから。」
子どもの伸び代は一人ひとりによって違いますが、急にしっかりしたことを言って来て、びっくりさせられる場合があります。自分なりに一生懸命に考えていたのだと思います。停滞したままではないのです。その子の伸び代を伸ばそうとしている時期なのだと、見守りながらちょっと待って上げて下さい。
高校への進学は、色々なパターンがあり、高校進学したい意志さえあれば必ず受け皿はあります。安心して、今はしっかりと子どもと向き合ってください。
NPO法人21世紀教育研究所
向井幸子
向井 幸子
臨床心理士
向井幸子プロフィール(通称さっちゃん先生)
1993年不登校という言葉もまだなかった時代、まだ日本で黎明期のオルタナティブスクール・スタッフとして勤務。そこで友人、教師、学校、家庭、自分自身などで悩み葛藤する数多くの生徒と出会い、臨床心理士として活動を始め、延べ数万人の支援を実施。
その後、数多くの実績を買われ公立小・中学校の教員のためのスーパーバイザーとして活躍し通信制高校カウンセラーを経て現在NPO法人21世紀教育研究所シニアカウンセラー